納豆と餅に捧げるララバイ
9月20日
昨日、友人Mが衝撃の報告
「ひょっとしたら納豆餅って山形のローカルフードかもしれない」
Mがオンライン上でのコミュニケーション中「父が納豆餅を買ってきた」と発信したところ、他県の方に「なにそれ?」「納豆巻きじゃなくて?」との言葉を返されたというのだ。
飲み屋で日本酒をなめながら笑い飛ばす。
「いや、それはその人が常識ないだけじゃない?」
納豆餅なんてあんな当たり前の食べ物なのに知らない人がいるなんて。例えるならば「卵かけご飯って何?」とでも聞かれたようなものだ(しかし私は実際にこれを聞かれたことがある)。世間は広いなあ。
と最初は笑い飛ばして知らない人はきっと都会の子で、そもそも餅だの納豆だのじじばば系料理をあまり食べないで育っただけじゃないかと勝手に納得していたのだが、だがしかし、よくよく思い返してみると、今まで東京で「納豆餅」という言葉にも存在にも触れたことがないんじゃないかという気がしてくる。疑念がむくむくと湧き出す。
記憶を手繰り寄せてみても、東京の甘味屋さんのメニューとか和菓子屋さんとかであんこもちは見たことがあるけれども、納豆餅というのがあったような気がしない。納豆餅といって自分なりに思い浮かべるのは山形の団子屋とかスーパーとかもちつき大会とかで並んでいるあの茶色いやつになる。
これはもしかするともしかするぞ。
山形県民が愛する郷土食、ひっぱりうどんも納豆汁もどちらも納豆が必要不可欠、だしだっておみづけだって納豆に入れるし、そう考えると山形の納豆必須率は高い。
疑念がどんどん膨らみつづけるのでとりあえず他県出身の友人にメールで聞いてみる。
まさかね。そんなはずはないよな。だって納豆と餅だぜ。納豆と白いご飯ならば例え納豆嫌いであろうとも全国民が納得する組み合わせである。もちは白いコメから作られるわけだから、存在しないはずがない組み合わせじゃないか。
しばらく待って返信が来る。なんということでしょう!
「納豆餅?聞いたこと無い」
衝撃。衝 撃 である。
納豆餅、その名から当然のように納豆と餅を合わせたものであることがわかるはずである。組み合わせ的にも何の違和感もないはずである。なのに、ああ、それなのに。「知らない」とか「聞いたこと無い」とか、なぜそんなことがありえるのか?山形県民が納豆を愛しすぎているのか?しかし消費量は全国1位ではなく、4い前後だったはず。
そんな混乱の心を沈めるべく、当然のように我らがグーグル先生に聞いてみる。キーワードはもちろん「納豆餅」である。
すると「山形郷土食 納豆餅」というフレーズがあちこちに出てくるではないか。どうやらケンミンショーでも取り上げられていたらしい。うーん・・・国民食ではなく県民食だったか・・・・
とはいえ、岩手とか北海道でも納豆餅は食べる人や地域があるらしいから、そこはやはり組み合わせの自然さ。きっと納豆餅という名前で広く食べられていなくとも、あちこちの家庭、個人レベルではわりとある食べ物なのかもしれない。
ちなみに私は納豆オンリーよりもネギと鰹節が入ってるやつが好きだ。あと納豆餅を知らない人はなっとうのタレを使うかもしれないが、納豆餅に関してはキリリとしまった醤油を使わないだめだ、ということを声を大にして言っておきたい。
それにしても人類学徒たる者が「当然」「当たり前」を決めつけてはならないというのに、自分もまだまだだな。
蛇足情報
・ひっぱりうどん
随分前に某美食家が「今まで食べたものの中で一番うまかったのは冬の山形の田舎で食べたひっぱりうどん」と答えたりしていたが、その正体は素朴なグルメといえば聞こえはいいが、納豆ご飯のご飯の部分をうどんに変えたようなものである。
茹で上がったうどんを鍋ごと直接テーブルにおき、そこからうどんをひきずりだし、お椀の中の納豆につけて食べる。これが基本形。
あとは納豆の部分がただの醤油をいれてかき回した納豆だったり、めんつゆを入れた納豆だったり、ねぎだのしょうがだの大根おろしだのといった薬味、そして堂々たるサバ缶(水煮)、もろもろをおこのみで入れたり入れなかったりして食べるのである。
納豆嫌いじゃなければ納豆ご飯をまずいという人がいないように、当然のようにこのひっぱりうどんも美味しい。特に冬場に好まれるのは、鍋から直接ひきずりだしたうどんがほわほわアツアツな上、そこに納豆の粘りが加わることで大変体があたたまるからである。
・納豆汁
単に味噌汁に納豆を入れたものではなく、正式なものはちゃんと叩いた納豆が入っている。大豆のつぶが叩かれてなめらかになっていることで、味噌汁がコクと旨味ととろみを持つようになる。
いもがらとか油揚げとか豆腐とかネギとか、まあそのへんは地域差家庭差。これもやっぱり冬の味。
インド行きがせまり、納豆もそろそろ食べ納め。行く前にもういらない!となるまで食べておかないとな。
昨日、友人Mが衝撃の報告
「ひょっとしたら納豆餅って山形のローカルフードかもしれない」
Mがオンライン上でのコミュニケーション中「父が納豆餅を買ってきた」と発信したところ、他県の方に「なにそれ?」「納豆巻きじゃなくて?」との言葉を返されたというのだ。
飲み屋で日本酒をなめながら笑い飛ばす。
「いや、それはその人が常識ないだけじゃない?」
納豆餅なんてあんな当たり前の食べ物なのに知らない人がいるなんて。例えるならば「卵かけご飯って何?」とでも聞かれたようなものだ(しかし私は実際にこれを聞かれたことがある)。世間は広いなあ。
と最初は笑い飛ばして知らない人はきっと都会の子で、そもそも餅だの納豆だのじじばば系料理をあまり食べないで育っただけじゃないかと勝手に納得していたのだが、だがしかし、よくよく思い返してみると、今まで東京で「納豆餅」という言葉にも存在にも触れたことがないんじゃないかという気がしてくる。疑念がむくむくと湧き出す。
記憶を手繰り寄せてみても、東京の甘味屋さんのメニューとか和菓子屋さんとかであんこもちは見たことがあるけれども、納豆餅というのがあったような気がしない。納豆餅といって自分なりに思い浮かべるのは山形の団子屋とかスーパーとかもちつき大会とかで並んでいるあの茶色いやつになる。
これはもしかするともしかするぞ。
山形県民が愛する郷土食、ひっぱりうどんも納豆汁もどちらも納豆が必要不可欠、だしだっておみづけだって納豆に入れるし、そう考えると山形の納豆必須率は高い。
疑念がどんどん膨らみつづけるのでとりあえず他県出身の友人にメールで聞いてみる。
まさかね。そんなはずはないよな。だって納豆と餅だぜ。納豆と白いご飯ならば例え納豆嫌いであろうとも全国民が納得する組み合わせである。もちは白いコメから作られるわけだから、存在しないはずがない組み合わせじゃないか。
しばらく待って返信が来る。なんということでしょう!
「納豆餅?聞いたこと無い」
衝撃。衝 撃 である。
納豆餅、その名から当然のように納豆と餅を合わせたものであることがわかるはずである。組み合わせ的にも何の違和感もないはずである。なのに、ああ、それなのに。「知らない」とか「聞いたこと無い」とか、なぜそんなことがありえるのか?山形県民が納豆を愛しすぎているのか?しかし消費量は全国1位ではなく、4い前後だったはず。
そんな混乱の心を沈めるべく、当然のように我らがグーグル先生に聞いてみる。キーワードはもちろん「納豆餅」である。
すると「山形郷土食 納豆餅」というフレーズがあちこちに出てくるではないか。どうやらケンミンショーでも取り上げられていたらしい。うーん・・・国民食ではなく県民食だったか・・・・
とはいえ、岩手とか北海道でも納豆餅は食べる人や地域があるらしいから、そこはやはり組み合わせの自然さ。きっと納豆餅という名前で広く食べられていなくとも、あちこちの家庭、個人レベルではわりとある食べ物なのかもしれない。
ちなみに私は納豆オンリーよりもネギと鰹節が入ってるやつが好きだ。あと納豆餅を知らない人はなっとうのタレを使うかもしれないが、納豆餅に関してはキリリとしまった醤油を使わないだめだ、ということを声を大にして言っておきたい。
それにしても人類学徒たる者が「当然」「当たり前」を決めつけてはならないというのに、自分もまだまだだな。
蛇足情報
・ひっぱりうどん
随分前に某美食家が「今まで食べたものの中で一番うまかったのは冬の山形の田舎で食べたひっぱりうどん」と答えたりしていたが、その正体は素朴なグルメといえば聞こえはいいが、納豆ご飯のご飯の部分をうどんに変えたようなものである。
茹で上がったうどんを鍋ごと直接テーブルにおき、そこからうどんをひきずりだし、お椀の中の納豆につけて食べる。これが基本形。
あとは納豆の部分がただの醤油をいれてかき回した納豆だったり、めんつゆを入れた納豆だったり、ねぎだのしょうがだの大根おろしだのといった薬味、そして堂々たるサバ缶(水煮)、もろもろをおこのみで入れたり入れなかったりして食べるのである。
納豆嫌いじゃなければ納豆ご飯をまずいという人がいないように、当然のようにこのひっぱりうどんも美味しい。特に冬場に好まれるのは、鍋から直接ひきずりだしたうどんがほわほわアツアツな上、そこに納豆の粘りが加わることで大変体があたたまるからである。
・納豆汁
単に味噌汁に納豆を入れたものではなく、正式なものはちゃんと叩いた納豆が入っている。大豆のつぶが叩かれてなめらかになっていることで、味噌汁がコクと旨味ととろみを持つようになる。
いもがらとか油揚げとか豆腐とかネギとか、まあそのへんは地域差家庭差。これもやっぱり冬の味。
インド行きがせまり、納豆もそろそろ食べ納め。行く前にもういらない!となるまで食べておかないとな。