7月29日
諸々の不調の原因は首である、というような一応の診断が下って一ヶ月、腑に落ちないまま治療に通いつづけた。
しかも自費治療と保険治療の療法を合わせることが望ましいとの指示を全うすべく母親が治療費援助をしてくれる。この年にもなってまったく忸怩たる思いやら頭が下がる思いやら、まああれこれ複雑な感情が渦巻く。
しかし治療の効果が現れているのか、これがはっきりいってサッパリ実感されえない。当初は保険治療だけ、鍼灸8分、低周波10分というメニュー、に途中から2種類の低周波各10分という自費治療を加え、自費治療をはじめてやってみた後はなんとなく握力が少しばかり戻ったように感じられて、それまでぎゅっと握りしめることのできなかった手に少し力が入るようになったのだが、それ以降どんな些細な変化すらも感じとることができない。
最初から眉唾的な気持ちでいたわけだが、それでもしかし先方が治療法として提示してくれたものを全うせずに(治らないじゃないか!」という文句もつけられないわけで、眉唾だからこそ最後までやりぬいたうえで
「ほらみろ!効かないじゃないかバーカ!」
と言ってやることが望ましい。
そんなわけで1か月の治療後初の診察である。前回の先生はおしゃべりではあったものの、肝心の私の症状についてや治療についての説明に関してははいはいと流すような感じで、はなから先方が提示している「頚性なんちゃら症候群」ときめてかかり、こちらの質問に関しても「院長の書いた本を読みなさい」と歯牙にもかけない扱いだった。
なので二回目の診療は別の先生の日を選びいざとばかり乗り込んでみれば、説明のないまま脳MRIをとり、診察室に呼ばれて入ってみれば白髪頭の高齢医師は黙ってMRI画像を点検。
「梗塞も腫瘍もありません。」
はあ。まあそうだろうと思ってました。
さらにつきそいのナース的な人がじゃあ次は頚を見ますねというと先生がおもむろに首の後ろを押していく。どこをどう押されても痛い。痛いので痛いとしかいわない。
先生はそのままだまってカルテの首の図の上の痛いといった箇所にばってんをつけていく。そのまま「治療は続けてますか」と聞かれたのでよしきたとばかり胸をはって
「言われたとおり2日に一回自費と保険で通ってますが」と言う。
先生そのままだまってカルテの記入をつづけつつ改めて欠かされた問診票に目を通す。無言のまま。あれ、通ってますがの後私つづけたいんだけどな。なんか今喋っちゃいけないのかな。聞いてないのかな。何こいつ。
と思ってたらはい、と言われナース的なひとにではこちらです、と言われる。
ん?まだ他に何かあるの?検査?え?診察まさかあれで終わりじゃないよね?だってあの人と私一言しかしゃべってないよ??
と思いながらついていくと隣の部屋に案内され、次回は脳のMRAの検査をします。予約はいつにしますか?と聞かれる。
どうやら診察はあれで終わりらしい。信じられないことに。
さらになぜ脳のMRAの検査が必要なのかもわからない。どうやら当然のようにMRAがセットになっているものらしい。なんかその当然のように、というのがよくわからないままに悔しいという気持ちを喚起させる。
しかも1か月後とか意味がわからない。そもそも今日のMRIだって必要があったのか。もし必要があったのならなぜ前回その説明がなく、しかも診断をくだした後にとるのか。
治療院の低周波だって鍼灸だってそう。都内を中心に地方の大都市にも2,3個直轄のクリニックがあり、頚性なんちゃらと診断された人はそのどこかで治療を受けないとならない。
でもそこでする治療といえば低周波と鍼灸である。何なら他の整骨院とか整形外科とかでもできる処置である。もちろん低周波の中でも特別な機械なんです、というのなのかもしれないが、それにしたってもしこの頚せいなんちゃらというのが現代人に幅広く見られる様々な体調不良の原因である!として、それを治したい!と本を何冊も出して提唱し続けているのなら、こうした治療が他の医療機関なり何なりでもどこでも受けられるようにすべきじゃないのか。
という憤懣遣る方無い気持ちで私の脳が行き着く先は「金儲け」という一言である。助かった、という声が一杯ある、との触れ込みで、実際にそうなのかもしれないが、やっぱり私自身はどうしてもあれこれ納得が行かないし、穿った見方しかできない。
かといって自分自身の体調についても自分ではもうどうしようもなく、他のところにいけばいっったで「自律神経ですね」と言われて終わり、今のところ治そうという前向きなアクションとしてはこの頚治療だけが唯一提示されているものとなり、というように煩悶するばかり。
あの白髪頭の高齢医師(というかこのクリニックに所属する医師は全員某日本で一番入るのが難しい医学部出身のおえらいさんの高齢者ばかりである。だからそれを考えるとあの二人の医師の態度にも納得がいくような)とのほぼ無言の診察の後は妙な悔しさで一杯となり、次回の予約云々の話をしてきたナース的な人に次回の診察にあたり話のしやすい人はどの先生ですか、ときくと困った顔をされる。
とはいえ精一杯話し好きの先生という人を二人選んでくれたので、そのうちの一人で予約をとる。しかし果たして私の心はもう半分以上ここにはこれ以上来たくないと訴えている。しかし他のところにいけば「自律神経」以下繰り返しの煩悶。
でカッカした頭で家に帰ったらMRIの着替えで家の鍵を置き忘れたことに気がつくという踏んだり蹴ったりっぷり。手のしびれは取れないどころか最近足までしびれてきた。なにこれ悪化してるんじゃないの。
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